幸せの定義──君と僕の宝物──
またため息をつくリュウの顔を見てユウがおそるおそる尋ねると、リュウは慌てて首を横に振った。

「オレじゃねぇよ。…おそらくな。」

「…おそらく…って…。」

「トモから聞いたんだろ?昔…トモが付き合ってた女の事とか…オレが…二人が別れる原因になったとか…。」

ユウは昨日のトモの話を思い出してうなずく。

「まぁ…。」

「昨日な、二次会の後、昔の連れと飲んでたんだけどさ…。そいつが2年前の梅雨時にトモの元カノと偶然会った時に、10歳の子供連れてたって。」

「えっ?!それって…。」

ユウは驚いて、思わず大きな声をあげた。

「ああ…。おそらくトモの子だろうな。いろいろ考えてみたけどな、そうとしか考えられねぇんだよ。」

「リュウの子供って可能性はないのか?」

「トモに激似だって言うしな…。必死で思い出したけど、オレの可能性はほぼない。」

「なんで?」

「オレ、昔から避妊だけは怠らねぇんだよ。後々面倒な事は避けてぇからな。中学時代からの習慣みたいなもんだ。」

当たり前のようにさらりと言うリュウに、ユウはまた驚いた。

「早っ…!!中学って…。」

「ヤンキーだったからな。勢いだけでやって妊娠とか…まわりに何人かいてさ。そういうふうにだけはなりたくねぇって思ってた。」

激ヤンだったと言う割に堅実なリュウに、もしかして自分より真面目なのかもとユウは思う。

「リュウ…意外と真面目か…?」

「A型だからな。」

「A型は関係あるかどうか知らないけどさ…。それで、その事トモには言ったのか?」

リュウは眉間にシワを寄せて首を横に振った。


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