幸せの定義──君と僕の宝物──
「やっぱ、ヒロさんの言った通りだな。似た者同士で、相思相愛だ。」

「勘弁してくれよ…。」

リュウは微かに笑みを浮かべて顔をあげた。

ユウの目には、心なしか、その瞳が潤んでいるように見えた。

「どうするのが一番いいのかなんて、本人たちにしかわからないよ。トモもそうだけどさ…リュウは、どうしたいんだ?彼女の事、まだ忘れられないだろ?」

リュウは一瞬ユウの目をじっと見た後、そらした視線をうろうろとさまよわせた。

(なんだよリュウ…わっかりやすいなぁ…。)

いつもはメンバーの中で誰よりも大人の余裕を漂わせているリュウが、好きな女の子を言い当てられた時の恋する少年のようにうろたえるのを見て、ユウは思わず吹き出しそうになるのを堪えた。

「一度さ…トモと腹割って話してみろよ。相手が大事だからこそ言いにくい事もあるだろ?だけどさ…お互いの本音をぶつけてみるのも必要だとオレは思うよ。」

ユウの言葉を聞いて、リュウは笑ってため息をついた。

「やっぱユウに話して良かったな。」

「ん?オレ?」

なんの事だろうとユウは首をかしげた。

「ついでにな…もうひとついいか?」

「ん?何?」

「オレな…姪っ子がいるんだよ。前に話しただろ?姉貴の娘。ハルってんだけど…。」


それからリュウは、小さい頃からかわいがってきたハルの話をし始めた。

小さい頃から大きくなったら結婚しようねと言うほどリュウを慕っていたハルを娘同然にかわいがっていた事や、高校1年生になった今でも大好きだと言ってくれる事。

でもハルの気持ちは身内に対する愛情ではなく恋愛感情なのだと気付いた事。

自分と姉のルリカは血の繋がらない姉弟で、ハルもそれを知っている事。


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