(短編集)ベッドサイドストーリー・1
僕は探しにきた女の子が急に目の前に現れたことでぼんやりとしていたけれど、その光景を目にして呼吸を思い出したんだ。
圧巻。
もう、その言葉だけしか。
「ここに毎日来て、朝と夜と立ってたのよ。世界は何て広いんだろうって思ってた。もし────────もし、誰かがあたしを見つけてくれたなら、今度こそちゃんと生きていけそう、そう思ってたのよ」
君はニコニコ笑っていて、その笑顔には暗い影など全く見付からなかった。
だから僕はやっと安心して、体から力が抜けたんだ。バッグを落として、ははは、と笑う。
ああ、なんてこった。僕はあんなに・・・君を必死で探していたのに。
それから立ち上がって、隣に立つ君を抱きしめたね。
やっと会えたんだ、って。
僕はここまで結構大変だったんだよ、君を探してあっちこっちをウロウロと。
なのに、君は笑っちゃって、もう。
探している間、ずっと君のことを考えていた。続いていく外国の景色の中で、僕の意識を保たせていたのは君への想いだけだったんだ。
今、みつけることが出来て、自然に湧いて体中をまわる感情。
ああ・・・何て愛おしい感覚なんだろう・・・。