(短編集)ベッドサイドストーリー・1


 私がどうしていいか判らずにそのままで突っ立っていると、まだヒーヒーいいながら体を起こした晃一が、涙目で言った。

「すげー髪」

 それからまたゲラゲラと笑っていたのだ。私が不安になって玄関の中に入り、鏡で自分の姿を見るまで。

「げ」

 口から出た言葉はそれだけだった。

 ・・・確かに、たしか~に、酷い外見だ。

 髪は見事にバラバラで、どうしたんだお前って彼の言葉そのまんまの様態だったのだ。最後は一緒に笑ってしまったくらいに、自分でも酷いなと思った。

 だけど一度落ち着いてからは、彼はとてもスウィートになったのだ。

 ニコニコと笑って、私の肩を抱き、彼お気に入りのソファーへと導いた。

「驚いた。まさか、本当に来るとは」

 って。

「だけど、嬉しいよ。そんな、なんていうか・・・飾らない姿を見れたのも、嬉しいよ、ホント」

 そう言って。

 飾らない姿・・・・まあ、そうとしか言えないわよね。私はもう開き直って肩を竦める。だって眉毛もかいてないんだもの。仕方ないわよ。


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