M A S K
まったく…
可愛くない弟だと思う。
どうせなら歳の離れた可愛い弟が欲しかった。
思春期真っ盛りだから仕方がないとは思うけれど。
「…ねぇ、まだいんの?」
「へ?」
言われて左腕に付けている腕時計に目を向ける。
シンプルな針が指さすのは8時20分。
「…やばい!!遅刻!!早く言ってよハヤト!!」
完全に八つ当たりだと分かっていたけど、冷静にはいられない。
何故なら、今回遅刻すれば地獄の雑巾がけが待っているからだ。