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「あらあら…そんなに無名では無いと思っていたのですが…」

ふむ……と口に手を当て考える津辻。

「なんで…その、…津辻さんは家の中にいるんですか…?」

立て続けに質問を投げかける。


「おやおや…ゆっくりお答えいたしますから焦らないでください」


クスリと笑うと津辻はクルリと相田に背を向ける。


「…?」


相田は頭にクエスチョンマークを浮かべると、ハッと思い出したように呟く。

「あ…遥………」

ドアを開けてやらなきゃ


ドアに目を向けると、相田自身に背を向けていた津辻が

「まだその必要はありませんよ」

と、口にした。

「その必要はない?…どういう事…ですか?」


きっと今俺はすごい間抜けな顔をしてるだろう。

ポカーンと口を開け背を向けている津辻を見る。


「私があなたの前に"のみ"この姿を表している時はあなた以外の時間は止まったことになっています。」

くるりとこちらを向き笑顔で紙を差し出す津辻。


その紙を相変わらずポカーンと口を開けて受け取る。



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「これ、は……?」


「チラシです」


津辻の笑顔を見るとゾクリと体の奥の方から何かが蠢く感覚がした。

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