BLUE‐PRINCE




あの出来事から、数ヶ月経った。


季節は巡って、冬。


バレンタインの季節だ。



「今年のバレンタイン、葵くん大変だね」


「なんで?」



バレンタインなんて、毎年僕には関係のない行事だった。


ていうか、そもそもバレンタインって何の日だ?


女子が告白してチョコレートをあげる日、というのは分かるけど。


『大変』って、どういう意味だろう。



「まぁ、きっとそのうち分かるよ!」



意味深に笑う朱架。


なんだかそれが癪で、朱架に触れるだけのキスをした。


これをすると、朱架は必ず大人しくなる。


案の定、顔を真っ赤にして立ち止まった朱架。


何度やっても変わらない。



「あ、葵くん!何でいきなりするのっ!」


「何となく」


「意味分かんないぃ……」



頬を膨らませ、拗ねる朱架。


そんなところも、愛おしいと思う。



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