BLUE‐PRINCE
「……葵くん、ここは空気が綺麗だね」
言いながら、肺いっぱいに空気を吸う朱架。
綺麗……?
都会だから、そんなに綺麗ではないと思うけど。
「今日は苺ミルク忘れてきちゃった。あれ、ここの自販機に売ってなくて……。甘いのがないと、落ち着かないんだけどね」
えへへと笑う朱架。
落ち着かない、か……。
クラスの女子よりだいぶおしとやかだ。
手に持っている飲みかけのミルクティーに目を落とす。
『甘さ控えめタイプ』とある。
じゅうぶん甘い。
……甘い、よな。