BLUE‐PRINCE




全クラスへの授与が終わり、いよいよ彼らのお話だ。



『校長式辞』



そのアナウンスを合図に、人の良さそうなおじいちゃん校長先生が壇上に上がる。


……あれ?


必ず持っているはずの、紙がない。


あれに確か原稿を書いて読み上げるはずなんだけど……。


不思議に思っていると、式辞が始まった。



『晴れ渡る青空。雪解けの水が、みなさんの門出を見届けているこの良き日に、…………』



これは、前置き。


これが終わり、「さて」と言ったところから先生の話は始まる。



『…………さて、卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます』



あ、きた。


長い話に備えて、少し姿勢を崩したその時。



『今回、私からのお話はありません』



・・・え?


お話が、ない?


シンとしていた体育館に、困惑の雰囲気が流れ始める。


それに構わず、校長先生は続ける。



『代わりに…ある人に、土壇場でお話をしてもらいたいと思います』



えぇ…


何だ、このサプライズ感溢れる演出は……。


まぁきっと、担任の先生とかそんな感じなんだろう。


あの先生、話おもしろいから嬉しいな。


…………なんて、呑気に考えていると。
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