BLUE‐PRINCE





「俺は電話で手が離せねぇ。今までの成果、見せてくれよ」


「……でも、死ぬかもしれない…」


「なら、死なねぇように頑張れ。朱架が待ってんだぞ?」



脳裏に、朱架の笑顔が浮かぶ。




『──葵くん、この子が産まれるとき、傍にいてね?』


『忘れなかったらね』


『えぇっ!?……ひどい』


『嘘だって。何があっても飛んでいく。隣で手を握るから』


『……うん、楽しみにしてるね!』



あの約束を、守らないわけにはいかない。



「………やるよ、父さん」


「頼んだ」



父さんと席をかわり、ハンドルを握る。


頭の中が真っ白だ。


何をどういう手順ですればいいのかなんて、分からなくなった。


でも、自然と手が動く。


意図せずに、右足に力が入った。


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