BLUE‐PRINCE
『分娩室』と書かれた部屋の周りを、たくさんの人がうろうろしている。
助産師の人達だろうか。
「すいません」
そのうちの一人、中年の女性に声をかけた。
「何でしょう?」
「出産に立ち会ってもいいでしょうか」
「どなたのご出産ですか?」
「南朱架です」
中年の女性は手に持っていたバインダーの紙を数枚めくり、小さく頷いた。
「分かりました。着いてきてください」
女性の指示に従い、早足でついていく。
「ここですね」
案内されたのは、別の分娩室だった。
さっきの分娩室より少し離れたところにある。
「ありがとうございました」
「いえ。中に奥様がいらっしゃいます。お気遣いを、お忘れなく」
女性は僕に念を押して、また足早に去っていった。