BLUE‐PRINCE



……行かないと。


迷うことなく、足で踏んで開けるタイプのドアを開けた。


開かれたドアの向こうにいたのは……



「葵、くん……」



台の上に横になっている、朱架だった。


元気そうな様子にホッと胸をなでおろす。



「来てくれたんだ、ね!」


「当たり前だよ。……大丈夫?」


「うん、今はおさまってる…。約束、守ってくれてありがとう」



力なく笑う朱架。


さっきまで陣痛があったのだろうか、額に汗が浮かんでいる。


小刻みに震えている朱架の手を握り、その汗を拭いた。



「朱架……ごめん、僕何もできないけど………傍にいるから」


「それだけで十分だよ」



朱架が、また笑う。


なんで僕は何も出来ないんだろう。


何かできることは、ないのだろうか。



「葵くんがいてくれたら……頑張れるから」


「…うん。頑張ろう」



『頑張れ』なんて、言わない。


朱架の子であり、僕の子でもある。


2人で頑張らないといけないから。



< 148 / 179 >

この作品をシェア

pagetop