BLUE‐PRINCE



──ガラッ……



病室の扉を開くと、同室らしき女の人たちが一斉にこちらを向く。


そして、なぜかヒソヒソ話し始めた。


……なんだろう。


何かしたっけ。


疑問に思いながらも奥に進むと、空になったベッドのそばに父さんと母さんが座っていた。



「葵、お疲れ。どうだった?」


「……出産って、大変なんだね」


「当たり前だろ」



顔色ひとつ変えずに言う父さん。


2人からしたら当たり前のことかもしれないけれど、僕は改めて出産の大変さを知った。


2人も大変だったんだろうな。



「朱架ちゃん、大丈夫そうだった?」


「うん、疲れてたけど大丈夫そう」


「良かった……」



母さんがホッとしたように言った。


朱架と同じ『出産経験者』だから、その思いが痛いほど分かるんだろう。


僕や父さんには一生分からない、痛みや喜びが。


……何だか、羨ましいような気がする。



< 151 / 179 >

この作品をシェア

pagetop