BLUE‐PRINCE
──ガラッ……
病室の扉を開くと、同室らしき女の人たちが一斉にこちらを向く。
そして、なぜかヒソヒソ話し始めた。
……なんだろう。
何かしたっけ。
疑問に思いながらも奥に進むと、空になったベッドのそばに父さんと母さんが座っていた。
「葵、お疲れ。どうだった?」
「……出産って、大変なんだね」
「当たり前だろ」
顔色ひとつ変えずに言う父さん。
2人からしたら当たり前のことかもしれないけれど、僕は改めて出産の大変さを知った。
2人も大変だったんだろうな。
「朱架ちゃん、大丈夫そうだった?」
「うん、疲れてたけど大丈夫そう」
「良かった……」
母さんがホッとしたように言った。
朱架と同じ『出産経験者』だから、その思いが痛いほど分かるんだろう。
僕や父さんには一生分からない、痛みや喜びが。
……何だか、羨ましいような気がする。