BLUE‐PRINCE
「ん…葵くん……?」
朱架の声が聞こえ、慌てて手から力を抜いた。
起こしてしまったのか……。
「ごめん、朱架。寝てていいから」
「ううん……大丈夫だよ」
目をこすりながら体を起こした朱架は、きょろきょろと辺りを見回した。
「あれ、ここは?」
「朱架の病室」
「奏多……奏多は、どこ?」
「もうすぐ連れてきてくれると思うよ」
その言葉に安心したように、朱架はまた体を倒した。
「良かった……。夢なのかと思った」
「そんなわけない」
「うん。あんなに痛い夢なんてないよね」
舌を出して照れたように笑う朱架。
その癖は、学生の頃から、全く変わらない。