BLUE‐PRINCE



桜吹雪が舞う校門をくぐると、白い校舎がみえた。



「懐かしい……」



20年前、僕が入学した小学校。


あの時の記憶が鮮明に蘇ってくる。



『お母さん!』


『なぁに?葵』



無垢に笑っていられた、あの頃。


現実がどんなに辛いかなんて知らなかったあの頃。



『やぁね、あの髪の色!信じられないわ』

『とんだ不良息子ね、小学生のくせに』



鋭利なナイフのようなその言葉は、幼い僕の胸に突き刺さった。


辛くて、悲しくて、悔しかった。


奏多には……そんな思い、させない。



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