BLUE‐PRINCE
大きな目を瞬かせて彼女は僕を見つめる。
「あれ、『蒼の王子』君……南君、だっけ」
「うん」
朱架じゃないのか。
ならいいや。
……ならいいやって何だろう。
一瞬、この子のことがどうでもよく思えてしまった。
茶髪の子は、僕から少し離れたところに座ってにこやかに笑った。
「私、同じクラスの玲奈っていうんだ」
「うん」
「覚えててくれたの?」
「ううん」
「……まともに会話する気ある?」
「うん」
コーヒーを一口飲んでスマホを取り出す。
たいして連絡先も入っていないスマホ。
存在価値があるのかすら分からない。