BLUE‐PRINCE
恋心
笑顔の朱架に見送られて教室に戻ると、先生が睨んでいた。
どうやら『遅刻』扱いらしい。
「南、遅刻だ」
「……すいません」
「放課後職員室な」
「はい」
内心面倒だと思いながらも、仕方ない。
帰るの遅くなりそうだなぁ…………
ため息をつきながら席に座ると、前の方に座っている玲奈と目が合った。
笑顔で手を振っている。
本当に同じクラスだったのか。
一応手を振り返し、また空を見る。
朱架が見上げているであろう空。
ふわふわ流れる雲を見ながら、母さんの言っていたことをもう一度考えてみた。
『頭で考えず、心で感じるの』
さっき感じた、モヤモヤ感。
あれが、恋……?
何だか違う気がする。
「それでは、今日の授業はここまでー」
いつの間にか授業が終わり、先生が出ていった。
隣から女子の話し声が聞こえる。
「ねぇねぇ、上野君見た〜?」
「うん♡超カッコよかったぁ〜!!」
「告らないの〜?」
「分かんなぁ〜い」
いわゆる、恋バナっていうものか。
恋…………。
彼女たちに聞いた方が早そうだ。