BLUE‐PRINCE
──ガラッ
教室に入ると、一瞬だけ集中する視線。
それらは興味なさげにすぐ逸らされた。
何人かの生徒が数学のプリントをやっている。
そういえば、今日提出のプリントがあったっけ。
……やってない。
自分の席に着いてプリントを出し、数学の参考書を開いていたら、ふと参考書に影が落ちた。
顔を上げると、玲奈の姿がある。
彼女は僕の参考書をのぞき込んで目を丸くした。
「南くんすごーい!参考書持ってるんだ!」
「凄くないよ。教科書だけだと分からないから買ってるだけ」
「いや、買おうとするその行動が凄いよ」
感心したように参考書をパラパラとめくる玲奈。
「…………何も分かんないや!」
ひと通り見終えると、元のページに戻してアハハと笑った。
「これレベル高い参考書じゃない?」
「わからない…適当に買ったから」
父さんと母さんに分からないところを聞いても、ろくに勉強をしなかった2人にはさっぱりらしい。
ゆえに、どの参考書がどういいのかも分からない。