BLUE‐PRINCE
「そういえば、さ。南くんのお父さんとお母さんって、かなり有名だよね」
玲奈が、話を変えるように唐突に話し出す。
そんなことを言われても。
「……そうなの?」
としか、答えられない。
「有名だよー!」と、楽しそうに笑う玲奈。
「昔、世界の頂点に立った暴走族【睡嵐】の元総長とその彼女。かつて最強と言われた2人だもんね」
……なぜだろう。
いつも明るい玲奈の、この言葉の節々にトゲを感じるのは。
「しかもあんなに美男美女!芸能界入ってもおかしくないよね」
「そうかもね」
確かに、父さんと母さんの容姿は一般人とかけ離れすぎてる。
父さんは青い髪を引き立てる凛々しい顔つきだし、母さんは名の通り、咲き誇る花のような美しさと儚さを兼ね備えている。
絵にかいたような美男美女だと、今でも言われているくらいだ。
「いいなぁ、綺麗なお父さんとお母さん……。ウチ、父さんしかいなくて」
「……そうなんだ」
玲奈が少し悲しそうな顔をしたので、深く聞くのはやめた。
言いたくない過去くらい、誰にでもある。