BLUE‐PRINCE
全開になっている屋上の入口をくぐり、外に出る。
秋ということもあり、少し肌寒い。
僕がいつも行くのは、貯水タンクがあるところ。
あそこからは街の景色がよく見えるから。
はしごを登って貯水タンクの影に行くと。
「……あれ」
そこには、一人の女の子がいた。
黒髪を風になびかせ、遠い目をして空を見つめている少女。
その美しさに、つい見惚れてしまった。
一歩後ずさったとき、ジャリ、と砂を踏んでしまい、その音で女の子が振り返った。
全てを見通すかのような澄んだ目。
でもどこか哀しそうなそれに見入ってしまう。
彼女の小さな唇が動き、声を発した。
「……葵くん?」
「…え?」
突然名前を呼ばれ、目を瞬かせる。