BLUE‐PRINCE




制服のポケットからスマホを取り出して、電話をかける。


数回のコール音の後、それが途切れた。



『……何だ、葵』



相変わらず無愛想なあの人。


何年たっても変わらないな、歩さんは……。


「すいません歩さん。頼みたいことがあるんです」


『あぁ?…くそ、今忙しいってのに……』


「お願いします」


『お前の頼みを断れるわけないだろ』



歩さんは何だかんだいってとても優しい。


頼りになる、歳の離れた兄のような存在だ。



「僕と同じ学校の、北苑朱架っていう女子の居場所を、教えてほしいんです」


『キタゾノアスカ?……ふぅん、分かった。お前今学校だろ?監視カメラはあるか?』


「はい」



普通の高校には、監視カメラなんてものはないだろう。


けど、この王蘭は私立だし、昔はかなりの不良校だったし。


溜まり場になりそうなところには設置してある。
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