BLUE‐PRINCE
「やっぱり葵くんだ!久しぶりだね!」
嬉しそうに口角を上げるその顔には、見覚えがある。
桜が舞うなか、僕に笑いかけてきたあの表情。
彼女の名は…
「…………朱架、だっけ」
「そうだよ!覚えててくれたんだね!北苑朱架、16歳!」
いたずらっぽそうな笑み。
あぁ、やっぱりあの子だ。
少し離れたところに腰を下ろし、持っていた缶コーヒーを飲む。
彼女は手に苺ミルクのパックを持っている。
「葵くんは、ここによく来るの?」
「いつも昼はここで過ごすよ」
「そうなんだ!ここ、落ち着くよね」
「うん……」
貯水タンクの裏が落ち着くと思うのは、僕だけだと思っていた。
この子は、どこか変わっている。