BLUE‐PRINCE
「……やめなよ」
倒れた朱架の前に立ち、玲奈の腕を掴んだ。
「離せ!!お前には私の気持ちは分からない!!大切な人を失ったことなんて、ないだろう!!」
僕の胸ぐらを掴んで怒鳴りつけてくる彼女の腕を、強く握った。
「……ないよ」
大切な人を失ったことはない。
失いたくなんてない……
「でも、父さんや母さんが死んだらって考えると、どうしようもなく悲しくなる。苦しくなる。それが……今の玲奈の気持ち?」
「そうだよ!10年間、その痛みや苦しみをずっと味わってきた!!だから離せ!!」
泣き叫びながら半狂乱で暴れる玲奈。
僕には……彼女の悲しみをどうすることも、できない。
……この際、仕方ない。
暴れる彼女を落ち着かせるように、そっと抱きしめた。
ビクリと揺れた、玲奈の肩。
その肩に、ゆっくりと話しかけた。