BLUE‐PRINCE



また行きたいな、と思っていると、朱架が俯いて悲しそうに笑った。



「……無いよ。お父さんが、海、嫌いだから」


「…海が、嫌い?」



その言葉に引っかかり、確かめてしまう。


海が嫌いというのは、日に焼けるからとかそういう理由だろうか?



「海にはね、お父さんとお父さんの友達の昔の記憶が詰まってるんだって」


「………………?」



記憶?


よくわからない。



「それって……」


「それより、葵くんは海行ったことあるの?あるなら、どんなところか教えて欲しいな!あたし、絵本でしかみたことなくて」



僕の言葉を遮り、笑顔で話しかけてくる朱架。


その顔には、もうさっきまでの哀しそうな雰囲気はない。


気のせいだったのだろうか?
< 9 / 179 >

この作品をシェア

pagetop