BLUE‐PRINCE
また行きたいな、と思っていると、朱架が俯いて悲しそうに笑った。
「……無いよ。お父さんが、海、嫌いだから」
「…海が、嫌い?」
その言葉に引っかかり、確かめてしまう。
海が嫌いというのは、日に焼けるからとかそういう理由だろうか?
「海にはね、お父さんとお父さんの友達の昔の記憶が詰まってるんだって」
「………………?」
記憶?
よくわからない。
「それって……」
「それより、葵くんは海行ったことあるの?あるなら、どんなところか教えて欲しいな!あたし、絵本でしかみたことなくて」
僕の言葉を遮り、笑顔で話しかけてくる朱架。
その顔には、もうさっきまでの哀しそうな雰囲気はない。
気のせいだったのだろうか?