きみの涙に、名前を。
答えの出せないまま、夏祭りの日になった。父が出発する日も近づいている。
結衣は母に頼み浴衣を着た。いつもはしないメイクもしてみた。
「やっぱり結衣はかわいいわね」
「おっ、かわいいな結衣」
両親にそう言われると照れくさい。
「ねえ、せっかくお父さんが休みなんだから二人でお祭り行ったら?」
「そうね。お父さん一緒に行きましょう!」
「いいな〜!久しぶりだな、母さんと二人で祭りなんて。いつぶりだ?」
「結衣が生まれてからは行ってないわよ。お母さんたちも遅くならないように帰ってくるからね。気をつけて、いってらっしゃい」
二人はにこやかに送り出してくれた。
「いってきます!」
結衣はそんな幸せそうな二人に負けないくらい笑顔で、そう言った。