きみの涙に、名前を。
氷雨
ーーー七年後、冬
結衣は二十四になっていた。高校、大学とアメリカの学校を卒業し、就職のために日本に戻ってから二年が経った。
橋本と別れてから、いろんな男性から誘われたが、どの人ともお付き合いには至らなかった。結衣の心には深く橋本蓮の存在が残っていたのである。
雪がちらつくこの季節、高校の同窓会が開かれた。連絡をもらったとき、結衣は不参加にしようと思った。橋本が幸せな姿を見て平常心でいられる自信がなかったから。しかし友人たちからはようやく結衣と再会できる喜びを感じ、あんな別れ方をしてしまった後悔も結衣にはあったため、参加することにした。