きみの涙に、名前を。
同窓会当日。
結衣は時間通り会場に到着した。居酒屋を貸しきったようだ。中途半端な時期に開催したわりに、出席率は高い。会場に入れば、みな久しぶりの結衣に興奮気味。席に座った途端、どうして何も連絡せずにアメリカに行っただの、彼氏はいるのかだの、むこうの男はどうだだの質問攻めにあう。
答えるのにも辟易してきた頃、ようやく結衣は解放され一人お酒を楽しめるようになった。
カウンターに座り、橋本の存在を思い出す。そもそも彼は今日来てるのか、来るまではあんなに緊張してたのに、質問攻めのせいで存在すら忘れていたとぼんやり物思いにふける。
すると、突然隣に誰かが座ってきた。
「結衣、久しぶり」
ハッとして、その人を見る。橋本だ。