きみの涙に、名前を。
橋本は仕事で少し遅れて到着した。
「蓮!やっと来たな〜」
「ごめん、遅くなった」
ヒロトの隣に座り、辺りを見回す。
「結衣ちゃんか?」
「おう」
「結衣ちゃんは来てからずっと質問攻めにあってるよ。ほら、あそこ」
橋本がヒロトに言われたところを見ると、なつかしい結衣の姿。左指には何もついてないことを確認し、結衣が一人になったときに声をかけようと思った。
そして結衣が一人、カウンターに座ったのを確認し、橋本はついに動き出した。
「結衣、久しぶり」