きみの涙に、名前を。
結衣はその言葉を聞いて、橋本が本当に自分のことを想ってくれているのかもしれないと思った。だったら、自分もちゃんと橋本と向き合わなければならない。
「夏祭りの日、七瀬さんと手をつないで歩いてるのを見たの。その前から橋本くんと七瀬さんの距離が近づいていたから、ついに橋本くんは七瀬さんのことが好きになったんだなって…」
橋本はその言葉を聞き、まず結衣の誤解を解くことが先決だと思い、七瀬に脅されていたこと、手をつなだのは七瀬のコンタクトがなくなって見えなかったから、七瀬に好意を寄せたことなんてないことを伝えた。
全てを聞いた結衣は橋本が苦しんでいたことに気付けなかったことに後悔していた。
「ごめんね…わたし、全然気付けなかった」
「結衣に後悔してほしくて話したわけじゃない。俺が好きなのは結衣だけって言いたいんだよ」
橋本は持ってきた指輪を結衣に差し出す。
「俺の決意の表れ。サイズは高校のときので準備したけど、もし合わなかったら作り直しもできるから安心して」