きみの涙に、名前を。
おまけ
キス
「は、橋本くんおまたせ!」
放課後、委員会で橋本を待たせていた結衣は急いで教室へ戻ってきた。扉を開け声をかけたが、橋本は反応しない。
「寝てる?」
結衣は橋本に近づいた。机に伏せたままの橋本を見て、寝てしまったのだと思ったからだ。
(こんなすてきな人が彼氏だなんて幸せすぎる…)
結衣は橋本のサラサラの髪をそっと撫でた。すると橋本はパチっと目を開けた。驚いていると、次の瞬間視界が暗くなる。口唇には柔らかく、温かい何か。
「結衣とキスしちゃった」
いたずらが成功したように満足気に笑う。そして、橋本の言葉を理解した結衣は顔が赤くなった。手を頬に当て、胸がドキドキしている。
「…結衣、かわいすぎだよ」
ボソッとつぶやく橋本の顔が赤くなっていたのは、夕陽に照らされたからではないだろう。