きみの涙に、名前を。

結衣は部屋に戻って、さっき言われたことを考えた。

(アメリカ、か…。留学願望はあったから、いい経験なのかもしれない。)

意外と冷静で居られる。昔から冷めているとよく言われるが、ここまでなのか…
(七瀬さんが橋本くんにベタベタし始めても何も言わなかったとき、周りに本当にすきなの?って聞かれたもんな…)
苦笑しながら、そんなことを考える。


結衣は自分の両親は友達の親に比べて仲がよく、二人でいるときは康之さん、美幸って呼び合っているのを知っている。

(お母さん、ああ言っていたけど本当はお父さんと一緒にいたいよな…)


(でも、そうすると橋本くんと離れなきゃいけない。)

結衣は板挟みになっていた。

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