有害なる独身貴族
過保護なくらい。
……確かにそうかも。
でも、そういう人なんだと思っていた。
私に対しては、最初っからずっとそんな態度だったし。
でも、数家さんがこんな風に言うってことは、違うのかな。
「皆にあんな感じなんじゃないんですか?」
「俺にはどっちかといえば無理難題を振ってくるかな。男に対する扱いは悪いよ、店長は」
「そうなんだ」
確かに上田くんの扱いは粗雑だったかも。
じゃあ、私が女だから構ってくれるのか。
茜さんにも優しいもんね。
……やっぱり有害じゃん。
あんな風にされたら、皆店長のこと好きになっちゃうよ。
「……先は長そうだね」
呟いて、数家さんはふきんを洗いに行ってしまう。
最後の言葉の意味は、よく分からなかった。