有害なる独身貴族
入ってすぐに衝立の目隠しがあり、すぐにお部屋が広がっている。
右奥にはキッチンスペースがあるようだ。
奥にベッド、中央に一人暮らしにしては大きめの座卓がおいてある。
壁に沿って並んだ棚には、ファッション雑誌が下段に、上段にCDが並べられている。
大きめの両開きの扉はクローゼットかな。その脇に姿見がある。
その足下には、靴の箱が幾つか重なっていた。コスメボックスというのか、お化粧品を並べたオシャレな箱もかわいい。
促されるまま、クッションの上に座ると、刈谷さんが覗き込んでくる。
「お茶でも飲む? ていうか、あらら、ひどい顔ね。足も。見せなさいよ」
刈谷さんは部屋着なのか、白とベージュのボーダーTシャツの上からサーモンピンクのロングカーディガンを羽織っている。裾クシュクシュの黒のスパッツは、彼女の綺麗な足のラインを強調している。
いつものミニスカートとは違うけど、やっぱり足に目がいくなぁ。
やがて彼女は、私にレンジで蒸したタオルと救急箱を持ってきてくれた。
「はい、さっぱりするといいわ」
「史、勝手に茶、いれていい?」
「私達の分も入れてよ」
数家さんは慣れた様子で、小さなキッチンスペースでお湯を沸かしている。
口調も、いつもお店できっちり私達を管理してくれている彼とはまた違ってラフな感じ。
なんか、二人の会話が心地いいや。
数家さんがリラックスしてるのも伝わってくる。