有害なる独身貴族
*
結局、私は夕方まで店に居て、出勤してきた数家さんは私を見つけるなり、呆れたように言った。
「房野、帰って良いって言ったのに」
「でも」
「まあいいや。店長に、鍵は俺が閉めて帰りますって伝えて。発注は仲道さんにやってもらったけど、休みそうならまた連絡くれって」
「分かりました」
片倉さん、熱、下がったかな。
食欲は復活したかしら。
着替えももう少し買って帰らないと足りないかも。
いろいろ考えながら着替えをすませ、店内に出ると数家さんがタッパの入った袋を差し出した。
「房野、馬場さんがこれ店長に食べさせろって」
お昼の残りのようだ。無言で野菜を切っている馬場さんにお礼を言って、私は店を出る。
途中のドラックストアでゼリー飲料を買い足し、庶民の味方の服飾店で安物のスウェットと下着上下を購入する。
まるで、家には帰しませんって宣言しているような装備を持って、部屋へと急ぎ帰った。
「ただいまです」
鍵を開け、扉を開けて驚いた。
看病する気満々で帰って来たのに、片倉さんがキッチンに立って料理をしてる。
「早かったな」
「なんで起きてるんですか」
「熱下がったから。とは言え鍵がねぇから出て行くわけにもいかねぇし。あ、着替え。ありがとな。風呂も勝手に借りた」
「ああ、はい。それは全然構わないんですけど」
返事をしてから、持たされた残り物に気づく。
結局、私は夕方まで店に居て、出勤してきた数家さんは私を見つけるなり、呆れたように言った。
「房野、帰って良いって言ったのに」
「でも」
「まあいいや。店長に、鍵は俺が閉めて帰りますって伝えて。発注は仲道さんにやってもらったけど、休みそうならまた連絡くれって」
「分かりました」
片倉さん、熱、下がったかな。
食欲は復活したかしら。
着替えももう少し買って帰らないと足りないかも。
いろいろ考えながら着替えをすませ、店内に出ると数家さんがタッパの入った袋を差し出した。
「房野、馬場さんがこれ店長に食べさせろって」
お昼の残りのようだ。無言で野菜を切っている馬場さんにお礼を言って、私は店を出る。
途中のドラックストアでゼリー飲料を買い足し、庶民の味方の服飾店で安物のスウェットと下着上下を購入する。
まるで、家には帰しませんって宣言しているような装備を持って、部屋へと急ぎ帰った。
「ただいまです」
鍵を開け、扉を開けて驚いた。
看病する気満々で帰って来たのに、片倉さんがキッチンに立って料理をしてる。
「早かったな」
「なんで起きてるんですか」
「熱下がったから。とは言え鍵がねぇから出て行くわけにもいかねぇし。あ、着替え。ありがとな。風呂も勝手に借りた」
「ああ、はい。それは全然構わないんですけど」
返事をしてから、持たされた残り物に気づく。