有害なる独身貴族
*
それから数ヶ月後。店長の迷走が始まる。
「光流、つぐみと飲みに行かないか?」
俺が高校時代の同級生と再会し、恋に落ち、あっさり振られたその後くらいから、やたらにこんな誘いが多くなった。
「俺と房野と店長で、ですか?」
「そうそう。行こうぜー」
メンツに疑問があるものの、逃げる理由もないといえば無い。
そんなわけで行った飲み会では、やたら房野の隣を勧められる。
「房野、酒飲めるの?」
丸顔な上に小柄だから、小さな女の子というイメージが強い。
成人しているのだから問題無いはずなのだが、ついつい心配になってしまう。
「はい。成人してからおじいちゃんと飲んだりもしました」
そんな彼女のグラスの中は梅酒。俺がビールで店長が烏龍茶だ。
誘っておいて何故飲まない。
別に飲めないわけでも無いくせに。
「光流は飲んでもたいして酔わないから安心だぞ。帰り送ってもらえよ。俺ちょっと待ち合わせがあるんだ」
挙句、どこかに電話をかけたかと思うと、30分後くらいに茜さんがやってくる。
「あらあ、楽しそうね」
「悪いな、茜。じゃあ俺先に帰るな。光流、つぐみを頼むぞ」
「はあ」
「店長、帰っちゃうんですか」
ちらり、と店長を見上げた茜さんは、勢い良く店長の腕に手を回す。
それから数ヶ月後。店長の迷走が始まる。
「光流、つぐみと飲みに行かないか?」
俺が高校時代の同級生と再会し、恋に落ち、あっさり振られたその後くらいから、やたらにこんな誘いが多くなった。
「俺と房野と店長で、ですか?」
「そうそう。行こうぜー」
メンツに疑問があるものの、逃げる理由もないといえば無い。
そんなわけで行った飲み会では、やたら房野の隣を勧められる。
「房野、酒飲めるの?」
丸顔な上に小柄だから、小さな女の子というイメージが強い。
成人しているのだから問題無いはずなのだが、ついつい心配になってしまう。
「はい。成人してからおじいちゃんと飲んだりもしました」
そんな彼女のグラスの中は梅酒。俺がビールで店長が烏龍茶だ。
誘っておいて何故飲まない。
別に飲めないわけでも無いくせに。
「光流は飲んでもたいして酔わないから安心だぞ。帰り送ってもらえよ。俺ちょっと待ち合わせがあるんだ」
挙句、どこかに電話をかけたかと思うと、30分後くらいに茜さんがやってくる。
「あらあ、楽しそうね」
「悪いな、茜。じゃあ俺先に帰るな。光流、つぐみを頼むぞ」
「はあ」
「店長、帰っちゃうんですか」
ちらり、と店長を見上げた茜さんは、勢い良く店長の腕に手を回す。