有害なる独身貴族
「決まり。十時に駅前で待ち合わせなー」
私の返事を聞く前に、さっさと立ち上がって行ってしまう。
残された私は、口をパクパクとするばかり。
なんなの。
デートって、好きな人とするものじゃないの?
理解が追いつかない私は、まだ中身の残った自分のお碗を見つめて、そこに映る歪んだ自分を見つめた。
「からかわないでくださいよ」
既に聞こえないところまで行ってしまった店長に、ボソリと告げる。
そして、残ったお碗の中身をズルズルと空けていく。
「……あっついわ」
体がアツい。
嬉しいような、でも途方にくれたような気持ちになる。
なんで私を誘うんだ。
彼から見れば子供でしか無い私を。
そんなに振られて落ち込んでいるようにみえた?
だとしたら悔しい。
もう二度と、彼に醜態は見せたくない。
ちゃんと笑えてるところを見せたいんだから。
「生きろよ」と言った。
だから私は生きている。
彼のお陰だけじゃないけど、あの日以来、どんなに辛くても死のうとは思えなくなった。
とりあえず自分だけのために。
それなら、頑張れそうな気がしたから。
いつか、そう悪くない幸せを手に入れて、彼に見せたかった。
そして聞いてみたかった。
私は、生きてる。
最高ってわけじゃないけど、自分で自分を幸せには出来るよ。
あなたは?
あなたはどんなふうに生きてる?