有害なる独身貴族
そんなにおばあちゃんの話ばっかりしてるかな。
自分では意識していなかった。
「ええ一時期。でも、もう亡くなってるんですけどね」
でも、ガミガミと言われた。
人生設計だけはしっかりしろと繰り返し念を押すように言っていたのは、自分が死んだ後の事を心配していてくれたのかもしれない。
しんみりしつつも、綺麗に並べられた洋服を一つ一つ見る。
赤ちゃんかぁ。
私、もともと友達もそんなにいないけど、まわりの誰も結婚していないしなぁ。
自分もいつか……なんてことも思えない。
だって赤ちゃんができるってことは、そういうことをするってことで。
男の人の前で裸になるとかも、あり得なくない?
こんな風に思っちゃうんだから、男の人と付き合えるわけが無いわ。
数家さんなら、なんか綺麗そうな恋愛出来そうだなって思えたけど、結局あんな肉食系っぽい人と付き合っちゃったしなー。
男の人は、やっぱり肉感的な女の人が好きなのかなぁ。
「予算からいくと、これとこれ、あと……このへんかな」
無難にすぐに着れそうなピンクのロンパースと来年辺りに着れそうなシャツとスカートをセレクトする。
大半は店員さんの意見を参考にしたものだけど。
「これでどうです?」
「んー。いい、いい。ありがとなぁ、つぐみ。これで会計しといて」
片倉さんはさほど興味がないのか、チラリと服を見て私に財布を渡した。