腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
玄関の前に立って、チャイムを待つ鳴らすと、
リュウがドアを開けた。
「ウサギちゃん、元気になった?」と聞く。
「元気です。リュウ先生、怪我の具合はいかがですか?」
と、心配そうなウサギに
「今日、抜糸したからもう大丈夫だよ。
お互い災難だったね。」と肩を叩いて、笑った。
「私がもう少し、ちゃんと気をつけてれば…」と顔を曇らせると、
「そんな風に思う必要はない。キチンと捕まえる事が出来てよかったよ。
もう、誰も傷つけないで済む。」と力強くウサギの目をまっすぐみる。
ウサギはちょっと、涙ぐんでから、小さい声で、
「そうですね。」と言ったので、僕はそっとウサギの肩を抱き寄せた。
「まあ、仲直り出来てよかったな。」と僕の顔を見るので、
「喧嘩なんてしてないって。」と僕は不機嫌な顔をしておいた。

部屋に入ると、キッチンからいい匂いがしている。
桜子先生と今日子ちゃんとしおりんもいた。
ウサギは、贅沢な空間に驚きながらも、
僕と一緒に用意した、焼き菓子を奈々ちゃんに手渡して、
「お招き、ありがとうございます。」と頬を赤くした。奈々ちゃんは
「今日はお鍋パーティーにしました。ゆっくりとしていってね。」と笑った。






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