腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
ウサギはしおりんと並んで、大きな窓に張り付いて夜景を見ている。
今日子ちゃんはジュースを持ってきて、僕の隣に座り、
「菅原先生もクルマでしょう。」と笑い、
「聞きたい事が山ほどあるんだけど。」と僕を睨んだ。
やれやれ。
「今日子ちゃんに怒られるようなことは全くしてないよ。」
と僕が力なく笑うと、
「ふうん。好きな女の子には、なかなか手も出せないんだ。」と聞くので、
「ウサギに嫌われたくないし。」と言ったら、
「まあ、彼女が相手じゃ、慎重にならざるおえないか。」と微笑む。僕は、
「この1週間は緊急対応だったけど、今後は逃げられる前に攻め込むつもりです。」
と笑っておく。今日子ちゃんは呆れて、
「本当に好きになっちゃったんだ。」と笑う。僕は
「そういうことです。」とニッコリ笑って言った。
「大事な後輩なんですけど。」と釘をさす。
「僕にとっても大切な人です。」と真面目な声で言うと、
前に座っていた桜子さんが
「年貢の納め時ってこと?」と笑って、聞くので
「ウサギを上手く捕まえられたら。」と笑ったら、窓際にいる新人コンビ以外が
「おめでとう」とグラスをあげる。
まだ、付き合ってもいないんですけど
でも、もう、ウサギを逃すつもりなんてない。
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