腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
仕事が終わってから、菅原先生の部屋に入ったら、
マゼンタ色(ピンクに近い紫)の光沢のある、ドレスと、
お揃いの色の靴とバッグと、濃紺のスーツが目立つところに掛けてあった。
私に用意してくれたのかな?
すごく綺麗だ。ものすごく高額なものかも。と思う。

先生が帰ってきて、私を抱きしめて、
「ただいま」と頬にキスをする。
そんな帰宅の挨拶にやっと、私は慣れてきたかな?

ドレスを横目に見て、
「気に入ってくれた?」と私に聞く。
私が大きく頷くと、
「桜子先生のパーティ用だよ。クリスマスプレゼントってことで良いかな。」
と笑うので、
「…すごーく、高額なプレゼントですけど。」と困った顔をしてしまった。
「僕も一応医者なので、これぐらいはたまには平気です。
みんなにウサギを見せびらかしたい。サイズ合ってるかな?着てみて。」と
私とドレスををベットルームに押し込んだ。
ノースリーブのドレスは肩のところに柔らかい透ける素材がが重ねてあって、
広く開いた背中も少し見えにくいようになっている。
ウェストのところでキュッと、リボンがあしらってあって、
膝上の丈だけれど、薄い透ける素材がスカートの部分に重ねてあって、膝を隠している。
背が低いから、大人っぽい長いドレスは似合わないとおもうけど、これなら大丈夫かな?
おずおずと部屋から出ると、
「うん。よく似合うね。サイズも良いかな?」と私の顔を見る。
私が頷くと、手を取り、座らせ、ハイヒールを履かせ、立ち上がらせる。
「靴、痛くない?顔が近くなったね。」といつもより、長いくちづけをした。
私が赤くなると、
「ウサギが可愛いので、ケッコーヤバイです。
着替えて、夕飯は外に出よう。」と笑って、靴を履いたままなのに
また、ベットルームに押し込んだ。
ケッコーヤバイって、そんな風に言われると、私の心臓が飛び出しそうです。
と心の中でつぶやいて、
急いで着替えることにした。



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