腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
「菅原ぁ、夜中に入院させた患者のことなんだけど、…」と
リュウが話しかけてくる。
はいはい、まだ、その患者のカルテ書いてる途中なんだけどね。
せっかちなヤツだ。
僕が見上げると、
「循環器の先生に、心カテ(心臓カテーテル検査)
急いでやってもらえないか確認しといて」と言う。
わかってるけど、まだ、病棟だって、カンファレンス中だろ。
「了解。」と短く返事をする。
「俺がやっても良いんだけど…」と言うので、
あんたが検査に入ったら、ここが困るだろーよ。
何でも出来るのはわかってるけど、ちょっと待ってろ。
「カルテ書いたら、すぐ、連絡しとく。」ともう1回言っておく。
「菅原ぁ」なんだよ、まだあんのか?
「…ナナコが、ガトー・ショコラ焼いたから食べに来いって。」

ナナコはリュウの妻の奈々(なな)ちゃんのことだ。
背は160センチないくらい、体重推定45キロ、
およそB85、W58、H80って感じのグッとくるプロポーション、
(そんなことを声に出したらリュウに殴られそうだ。)
茶色い大きな二重の瞳、にっこり大きく微笑むとエクボが可愛らしい。
茶色い柔らかな髪はゆるくウェーブを描く。

僕のマドンナ。
僕がが好きなケーキを焼いてくれたんだ。と嬉しくなる。
「すぐ、終わらせて行くって言っといて。」
「菅原ぁ、他の女にも興味を持てよ。俺が紹介しよっか?」とリュウ。
「必要ない」と僕はにっこり笑っておいた。
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