腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

グラスを持った僕の横にリュウが立つ。
「菅原、やけ酒？」とニヤニヤする。
僕はリュウの顔を見上げ、
「ウサギは僕のことが好きだって言った。
お付き合い出来て、嬉しいです。って言って、恥ずかしそうに僕を見た。
僕を見つめて、僕の名前を名前をそっと呼んで、顔を真っ赤にする。
でも、ちっとも、距離が縮まらない。
僕が求めると、そっとならキスもするし、
抱きしめると僕の腕の中でじっとしてる。
でも、僕を求めているって、ちっとも思えない。
リュウ、好きってどういう事？
僕はウサギの事が欲しくて、側にいたくて、苦しくて、
頭が変になりそうだ。
お互い好きだって思ってるって
そう思い込んでるのは僕だけなのかな？」少し、酔っ払った僕は
いっぺんに気持ちを吐き出して、ぼんやりしてしまう。
「恋しちゃってるんだねえ。」と反対側に壮一郎さんが座る。
「ウサギちゃんは男と付き合った事がないんでしょう。
今までの相手みたいな訳にはいかなんじゃないの？」と笑う。
リュウは
「でもさ、俺もなんとなく腑に落ちないって感じかな。
ウサギちゃん、なんか思い違いをしてないかな？」と首をかしげる。
「それって何？」と僕が聞くと、
「そんな事、俺がわかるわけないだろ。自分で考えろ。」と言って、
「菅原、ジタバタしてるお前って悪くないよ。
人との繋がりを真剣に求めるようになったって事だろ。
出会った頃のお前より、ずーっと、人間らしい。」とニッコリ、僕とグラスを合わせる。
それって、褒めてんのかよ？
リュウはもっと悩めと、クスクス笑う。

僕の悩みはちっとも解決しない。けど、
少し言葉に出来たから、ちょっと、すっきりしたかもしれない。