腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
「仕事には慣れたか」と帰っていた父が夕飯を食べながら聞く。
私はすき焼きのお肉にたっぷり、卵をつけながら、
「帰るたびに同じことを聞かれてると思うけど。
ちゃんと、働いています。」とお肉を頬張った。
「ちゃんと、上司の言うことを聞いて、きちんと仕事をするんだぞ。」
とそれも、毎回聞かされていると思うんですけど。
「少しは娘を信用したら。」とため息が出る。
「少しは親の言うことを親身になって聞け。」とだんだん声が大きくなる。
お母さんが
「せっかく3ヶ月ぶりに帰ってきたんだから、喧嘩しないで。」と
間に入って、
「お友達のしおりんちゃんだっけ?仲良くしてる?」と聞いてくる。
「しおりんと、新しく知り合った、年上の人達と仲良くしてもらってる。」
と言ったら、
「男の人?」と聞いてくる。
「男の人も居るけど、女の人が多い。
ナースの先輩と、ご主人とか。内科の女医さんとご主人とか。
そうそう、内科の女医さんのお家のパーティに呼ばれて、しおりんと行ってきたよ。
すっごく大きなクリスマスツリーがあった。」と笑うと、父が
「パーティなんか行って、次の日ちゃんと、仕事が出来たんだろうな。」と顔をしかめるので、
「ちゃんと、早めにタクシーで送ってもらいました。」と言うと、
「誰に?」とお母さんが興味深々で聞くので、
「しおりんも一緒です。」と言うと、
「なあんだ。最近帰って来ないから、
ボーイフレンドでも出来たかなって、思ってたのに。」とため息をついた。
22年間ボーイフレンドも出来なかった私を一応心配しているのだ。

…できたのはボーイフレンドなんて可愛いものじゃありません。と心の中で言っておく。
でも、好きになっちゃったの。
紹介できる人じゃないけど、初めて好きななった男の人がいます。
その人と一緒にいると、どんなことでも楽しくて、嬉しい。




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