腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
翌日寮に戻って、また、いつもと同じ忙しい日々が始まった。

私はツカサさんと連休を過ごす日を
緊張するのと同じくらい心の平静を保って、待つことができた。
お付き合いを始める時から決まっていたこと。
1回寝たら終わり。
ツカサさんと別れる準備ができたかな。
きっと、たくさん泣くかもしれないけど、大丈夫。
今まで、すごく楽しかった。
きっと、忘れることは出来ないけど、
勝手に好きでいても心の中は誰にも見えないから、
きっと、誰にも怒られたりしないだろう。
と、すこしだけ安心する。

最近のツカサさんは私を送る前に
玄関ですこしずつ長いくちづけをするようになった。
何度か唇の角度を変えながら、舌を絡める。
私が上手く呼吸ができなくなって、小さく声を漏らすと、
唇が首筋に移って、鎖骨の辺りまで、音を立てながらゆっくり降りてくる。
私は皮膚の上を滑っていく柔らかい唇の感触に思わず、ため息が出てしまう。
そうすると、ツカサさんの唇が私の唇をもう一度覆ってきて、また深く長い、くちづけをする。

オオカミのくちづけ。
私はツカサさんの腕の中で動けなくなる。
ツカサさんの思いのままだ。
もう、逃げ出すことは出来ない。



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