腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

私はゆっくりシャワーを浴び、髪を洗った。
新しい、淡いピンクの下着を身につけ、マゼンタ色のキャミソールを身につけた。
バスルームの隣にある洗面台の前の鏡をじっと見る。
ちょっと笑ってみたけど、緊張で引きつっているかもしれない。
ガラスで仕切られたバスルームはツカサさんがいる時は使えないなと思ったけど、
そういえば、私は全部ツカサさんのモノになるんだった。と思い出して、
身体は見せなくっちゃ、きっといけないんだろうな。とぼんやり考える。
灯りを消して欲しいって、お願いすれば良いのかな。
きっと、考えても正解はわからない。
初めての時は痛いんだろうか？どれくらい我慢すればいいのかな。
しおりんに聞けばよかったかな？
ツカサさんはハジメテの女の子と何人寝てるんだろうか？
年上のバツイチオオカミ。
ツカサさんにとって私とのお付き合いはきっと特別な事ではないのだろう。
でも、私にとっては、
初めてで、心がぎゅーっと掴まれた恋だ。
いつもいつもツカサさんの事を考えてしまう。
ハジメテの男の人。


時計を見ると、もう、23時を過ぎた。
急がないと。
ツカサさんを待たせるつもりはなかったのに。
急いで、髪をドライヤーで乾かす。
ドレスとアクセサリーを身につけ、
お揃いの色のバッグにハンカチとスマホ、カードキイを入れる。
やっぱり私は慌て者のウサギだ。
きっと、いつまでたっても
ツカサさんに似合うオトナの女の人にはなれない。

23時を45分過ぎたところで、部屋を出る事が出来た。
エレベーターがなかなか来なくて、イライラする。
最上階のBARにたどり着いた時には0時5分前だった。