腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

その27。ツカサ

目が醒めるとベットにひとりで眠っていた。
ウサギはもう起きたのかな。
昨日ウサギはやっと、僕を求めてきた。
僕の事が好きだって言って、くちづけして、涙を落とした。
身体を重ねて、お互いに全部を求め合った。そう思う。
ウサギはぎこちなくそれでも、僕を求めているのがわかった。
僕の名前を呼び、身体を震わせて、僕を見つめた。
僕はできる限り優しく抱いたつもりだったけど、
結構ウサギに溺れてしまったから、激しく求めたかな。
きっと、たくさん僕の印がついたままだろう。

やっと、これで本物の恋人かな。
心も身体もお互いのものだ。
僕は心からホッとする。
今日はどんよりとした曇り空みたいだけど、
僕の心は晴れている。

でも、
部屋にウサギの姿はない。
どこをほっつき歩いてるんだ?
僕は不機嫌な顔になっていくのがわかる。
だいたい、恋人を置いて、
どこかに出かけるなんてありえないだろう。
後で、よーく、言い聞かせやらないと。

シャワーを浴びて、髪をバスタオルで拭きながら、ベットルームに戻ると、
ドレッサーの上にメモが置いてあるのに気がついた。
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