腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
数分後、水色のフワフワの部屋着(奈々ちゃんに貰ったヤツ)をきたウサギが慌ててやってきた。
「つ、ツカサさん、いったいどうしたんですか?」
とものすごく驚いた顔をしている。僕は呆れて溜息をつく。
「ふつう、急にいなくなったら、心配する。」と言うと、
「め、メモを残したじゃないですか。」といったので、
「納得いかない。あんなメモ1枚で別れられると思うなよ。
今日は帰るけど、キチンと説明して欲しい」
と大きな声を出さないように、僕はウサギの耳元で囁いた。そして、
「お邪魔しました。」と玄関のドアを開ける。
ウサギは驚いた顔のままだ。

頭がガンガンする。
馬鹿ウサギ。絶対風邪を引いただろ。
雪の中を走り回って、勤務に穴を開けたら、リュウにどやされる。
と心の中でブツブツ文句を言いながら門に手をかけたところで、
後ろから腕をつかまれた。ウサギだ。ウサギが顔を真っ赤にして裸足で立っている。
何で裸足で出てくるんだ?
「ツカサさん!」とすがるような目で見つめてくる。どうした?
「1回寝たらお終いじゃあ、ないんですか?」!?へ?
「私とは、1回寝たらお終いじゃ、ないんですか?」と僕の目を見つめてくる。
「何言ってるの?そんなわけないじゃないか。」と唖然と見つめ返すと
「本当ですか?」と涙が転がり落ちた。
「僕は何度も美雨が好きだって言ったと思うけど…」と思わずウサギの涙を拭うと、
ウサギは僕に抱きついて
「私もツカサさんが好きです。」と、大声で泣き出した。
お母さんがが慌てて飛び出してくる。
僕が慌ててウサギをなだめる姿と、
泣きながらツカサさんが好きです。と繰り返すウサギに笑い出し、
ウサギのの荷物を持ってきて
「菅原さん、今日は美雨を連れて帰って。こんな所で大声で泣かれちゃ、近所迷惑です。」
と僕らを車に押し込んで、ウサギの足をタオルで拭いて、サンダルを履かせた。
僕は何度もお母さんに頭を下げながら、車のエンジンをかけ、ウサギの実家を後にした。




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