腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
水を渡すと、ツカサさんは起き上がってゴクゴク飲んでから、
私の身体に腕を回し一緒にベットに倒れこむ。
「どこにも行かないで。」と深く抱きしめ、目を閉じてしまう。
私はツカサさんの寝息が規則的になってから、
腕を外してゆっくり体を起こし、ベットを出た。
やれやれ。
熱のあるツカサさんは大きな子どもみたいだ。
アイスノンを頭の下に当てて、ゆっくり、髪を撫でる。

まだ、ツカサさんのそばにいてもいいのかな。
私はツカサさんの恋人なんだろうか?
下着姿のままだったのを思い出し、小さなトランクからもう一枚の部屋着を取り出した。
キッチンでおかゆを作る。
『どこにも行かないで』と何度も言ったツカサさんの真剣な瞳を思い出して、
買い物はやめておこうと思った。


体温計を見つけ出し、ベットルームに戻ってツカサさんの体温を測る。
38度だ。解熱剤は効いてきただろうか。明日は仕事があったはず。と思う、と、
ツカサさんが目を開けて、私の手を掴んで、
「一緒に寝て。」と引っ張る。ハイハイ。
また、抱きしめられてしまう。まあ、いいか。とりあえず、一緒に寝ていよう。
ポケットに入れていたスマホで夜21時に目覚ましをかけておく。
解熱剤が切れる頃、もう一度、熱を測っておかないと。


目覚ましが鳴って、私が身動きすると、ツカサさんが、私の額に唇をつけた。
「おはよう」と笑う。今は夜ですけどね。すっかり、私も眠ってしまいました。
おでこに手を当てると、まだ熱がありそうだ。
「おかゆ食べますか?」と聞くと、
「お腹すいた。」と返事があった。よかった。食欲があるなら、良い傾向でしょう。
ツカサさんは
「ウサギは具合わるくなってないかな?」と深く抱きしめてくる。
「丈夫が取り柄です。」と言って、抱きしめ返すと、
「頼もしい」と笑って、深くくちづけをしてくる。私はゆっくり、身体を起こし、
「ご飯の用意してきます。」と言うと、
「ウサギ、奥さんみたいだよ」とツカサさんがにっこりするので、顔が真っ赤になる。

ソレッテドウイウイミデスカ?
変に期待させないで欲しいんですけど。と心の中で文句を言った。



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