腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
ウサギは
「雪って良いですね。」と言いながら、車の窓に顔をくっつけている、
そんなに雪が好き?
「だったら、僕の実家に行く?嫌っていうほど、見れるよ。」
と言うと、唖然とした顔をした後、
「行きます。ご両親に紹介してくれるって事ですよね。」と顔を赤くした。
ちょっと待て、まだ、僕はウサギの両親に会わせてもらってないけど。
「ウサギ、僕を先に両親にあわせて欲しいんだけど。きっと、反対されると思うし。」
「なんで、反対されるんですか?」と怒った声で聞いてくる。
「僕が親だったら、12歳も年上のバツイチの男に騙されてるっておもうよ。」と言うと、
「ツカサさん、私を騙しているんですか?
昨日、あんなに愛してるって言っていたのに?」ウサギはもう、涙目だ。マズイ、
「騙してない。騙してないよ。
僕は美雨をきちんと愛してるって。嘘じゃないよ。」と、慌てて言う。

朝から僕はオンナノコ達に振り回されてないか?

「ウサギには、もっと、歳が近くて、バツが付いていない、
ふさわしい男がいるかもしれないって、思うかもって、事だよ」
「私はツカサさんが良いんです。」と言うウサギに、ちょっと照れながら、
「だからね、反対されても、何度も交際を認めて欲しいって、
会いに行かないと。って思ってるわけだ。」と言いながら、職員駐車場に車を停める。
「反対なんてさせません。」とウサギはキッパリ言って、微笑む。
そう、上手くいくようには思えないけど…。
と、僕はため息を吐く。
ウサギは元気に車のドアを開けて、出て行きながら、
「仕事が終わったら、ツカサさんの家に行ってます。」と言ったので、
「帰りも足元が危ないから、ちょっと待ってて。一緒に帰ろう。」
と声をかけると、大きく笑って、頷いてから病院のドアを入って行った。
うーん。笑顔が可愛い。

「ウサギを見すぎだろ。」とリュウが車から出た僕の横に立つ。
僕より後に車を停めたみたいだ。ウサギのことばっかり見てて気が付かなかった。
「悪いか。」と僕は微笑む。やっと、ウサギを丸ごと手に入れたばかりだ。
リュウはクスクス笑って、
「恥ずかしいヤツだ。顔がにやけすぎてる。」と笑って、
「休暇は楽しかったか?」と聞いてくる。
「まあね。」と雪の中を走り回ったり、熱を出したりしたけど、まあまあな休暇だった。
「結構。今日も働け。電車が止まって、仕事に来れないヤツらがいる。」と笑う。
マジか?救命医は何があっても病院にたどり着ける場所に住むのが基本だろ。
これだから雪に慣れてない奴らは困る。と心の中でブツブツ文句を言っていると、
「菅原あ、早く来い!」とリュウが大声で僕を呼んだ。
ハイハイ。
コイツも朝から僕を振り回す。
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