腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
もうすぐ、バレンタインだ。
今まで、友チョコばっかり用意してたけど、
今年はツカサさんにちゃんと用意をしよう。何が良いかな。
ツカサさんが好きなものって何だろう。
車、ミントの飴、いつも着ているブランドのスーツ。
ネクタイは難しそうだ。マフラーは3本も持っている。
考えを巡らせながら、夕飯のおなべの野菜を切っていると、
ツカサさんが後ろに立って、私を抱きしめ、頭のテッペンにキスをする。
「僕が呼んでも返事をしないくらい、何を考えているのかな?」と不機嫌な声だ。
私の包丁を取り上げ、まな板に置き、指を絡めて来る。
唇は耳の上の部分をゆっくりくわえ、歯を柔らかく当てる。
「つ、ツカサさんの事を考えてました。」と言ったけど、ふうん。と言って、
私の身体をゆっくり撫でて、
「このまま、立ってする?ウサギはシンクにつかまってれば良いよ。」と耳のそばで囁く。
私はブルブルと首を横に振る。
「ソファー?ベット?バスルーム?どこがいい?選ばせてあげるよ」
と私の体を反転させ、じっと見つめて、唇を深く重ねてくる。私はキスされながら、
「待って、ごはん食べたいです。」と切れ切れに言うと、
「僕はウサギが食べたいんだけど。」とブラウスのボタンに手をかける。
「ご、ごはんが食べたいです。」と真っ赤な顔でツカサさんの手を掴むと、
「しょうがないな。僕にお預け食わせるなんて。…後で、後悔しても知らないからね。」
と、耳元で囁いてから、何もなかったように体を離した。
心臓がバクバクいって、フラフラする。
シンクをギュッと握る。
オオカミとのお付き合いはドキドキの連続だ。
ちょっと、考え事をしてただけで襲いかかってきそうだ。
気が抜けない。

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